獣害対策の進展が農家の農地管理意識に及ぼす効果三重県における集落の調査事例

摘要

近年，野生獣による農作物被害が深刻化しており，そ の被害金額はサル，イノシシ，シ力の農作物被害のみでも平成20年度では127億円に達し，農業生産上の大 きな問題となっている。特に，中山間地域などの山地に 接する農業地域では，獣害が農地管理への意識が低下す る原因となり，農地や里山の荒廃など地域農業を維持す る上での重大な問題ともなっているため，獣害を防ぎ得 る地域や集落の育成が大きな課題である。獣害対策のためには，集落ぐるみでの取り組みが重要 とされ,近年，各地で獣害対策への取り組みが始まつ ており，被害を軽減できる地域も現れている。しかし， 獣害対策の本来の百的は，獣害を軽減することでその地 域の農地管理の意識を向上または，その低下を防ぎ，地 域農業の維持、発展を図ることにあり，これら集落農家 の意識を改善し得る効果があつたかどうかが獣害対策の 最も重要な成果であると言える。