後肢端壊死、脱脚を呈した免疫不全子牛

摘要

牛の四肢末端の壊死、壊痕は，凍傷や股間フレグモーネ，外傷，エンドファイト中毒が原因で発生し，組織が壊死脱落して脱脚する例もある。肢端壊死は成牛の発生が多いが，子牛における発生も散見される。 今回，下痢と呼吸器病の治療歴のある子牛が，後肢端壊死を呈して脱脚した症例について報告する。症例は2006年5月24日生まれ，37日齢，体重48.5kgの交雑種雌子牛である。 10日齢の6月3日に重度の下痢症を発生してリンゲル液と7％重曹注の混合輸液とセファゾリンの静脈内投与を3日間行い，6日から5日間，呼吸器病の治療としてエンロフロキサシンの筋肉内投与が行われた。 下痢の原因は特定されなかった。 6月15日（22日齢）頃から，全身が脱毛し，6月30日（第1病日），両後肢の球節部の壊死が発現して背琴姿勢を呈し，副蹄で着地した。また，尾端の中央部から遠位における壊死の併発も認められた（写真－1，2）。 雨後肢球節部から遠位の化膿性壊死と蹄の離脱が進行し，7月8日（第9病日），本学に来院した（表－1）。