愛知県における豚流行性下痢（PED）の中和抗体保有状況

摘要

1971年に初めてイギリスで確認された豚流行性下痢（PED）は，豚伝染性胃腸炎（TGE）と同様に水様性 下痢を主徴とする急性伝染病であり，とりわけ幼弱な哺乳豚が罹患すると致死率が高いことから，発生農場では経済的に大きな影響を受ける。 近年の発生状況をみると，ヨーロッパではウイルスの常在化により離乳期下痢（常在型）の発生がある程度だが，韓国では季節に関係なく広い範囲で発生し1995年には日本円に換算して54億円の損失が認められている。 日本においても1993年以降，大規模なPEDの発生が認められるようになったが，特に1996年の九州を中心とした全国的な発生では哺乳豚を中心に致死率の高い流行が確認された。 このような過去に例のない流行が認められた原因を探る目的で，1997年に全国的な浸潤状況調査が実施され，その結果，全国的にPEDウイルスが浸潤していることが判明した。