未経産豚の繁殖を成功させるポイント

摘要

養豚における豚のサイクルをみると，候補豚の導入にはじまり，種付け→妊娠→分娩→種付けという繁殖サイクルと，分娩からはじまる授乳子豚→離乳子豚→子豚→肉豚という肉豚生産ラインから成り立っている。 このことから，未経産豚の繁殖を成功させることは，その後の種豚サイクルにおいての繁殖成績の維持，肉豚生産ラインでの疾病対策にとって重要な位置を占める。 つまり，未経産豚の繁殖の失敗は，繁殖成績において，主に，産歴構成，NPSD（母豚の非生産日数）の悪化による一層豚当たりの生涯生産頭数に大きな影響を与え（表－1，図－1），肉豚生産ラインにおいては，母子感染の増加によるPRDC（豚呼吸器複合感染症）に代表される慢性疾病の増加にも大きな影響を与える。 これらのことから，未経産豚の繁殖を成功させることは，繁殖成績を安定させ，慢性疾病をコントロールするために，最も重要なことがらであると思われる。 したがって，未経産豚の繁殖を成功させるためには，次の5点が目的として挙げられる。①候補豚の体作りをしっかりと行い，繁殖，消耗，股蹄，泌尿器系の問題による若齢産次での廃用を予防。②免疫状態の安定を図り，疾病発症による若齢産次での廃用を予防。