合理的習慣形成モデルによるわが国牛肉需要構造の計量経済分析 一関税削減の品種別影響分析の観点から一

摘要

わが国においては現在，牛肉の関税削減に関する議 論が行われ，関税削減による国産牛肉生産への影響が 懸念されており，特に，輸入牛肉と品質が近いと言わ れている乳用牛肉の生産への影響が懸念されている. 以上の影響を分析するためには，第一義的には，わが 国の現在の牛肉需要構造を計量経済学的に明らかにす ることが重要となる.以上の観点から計量経済分析を行った研究としては，Mori and Lin (1990), Hayes ef ah（1990), Wahlet al.(1991)およびKawashima and Sari (2010) がある.しかし，Hayes et al. (1990), Wahl et al. (1991) およびKawashima and Sari (2010)では，乳用牛肉と 輪入牛肉ないし和牛肉が1つの財に集計され，現在特 に注目すべき輪入牛肉と乳用牛肉の関係が分析されて いない点に問題がある.