黒毛和種繁殖牛における消化管内線虫駆除が繁殖および子牛の経済性に及ぼす影響

摘要

兵庫県下の黒毛和種繁殖牛における消化管内線虫寄生率は，母子牛ともに高かった。 そこで，消化管内線虫駆除を目的にイベルメクナンによる牛群母牛一斉駆虫を行ったところ，虫卵陽性率およびEPGは，投与3カ月後および1年後に有意に減少した（p＜0．01）。 出生子牛のD．G．は投与前0．85±0．11，投与後0．91±0．10，価格比はそれぞれ97．1±22．7，112，1±25．5であり，いずれも投与後に有意に増加した（p＜0．01）。 分娩間隔も，投与後短縮した。 さらに年1回の2年連続駆虫では，虫卵陽性率およびEPGは有意に低下し（p＜0．01），出生子牛のD．G．および価格比は向上し，分娩間隔も短縮した。 また牛群の一斉駆虫は，費用、便益分析法によって高い経済効果が得られたことが評価された。