子牛の心疾患の診断

摘要

子牛で主にみられる心疾患には，胎生期の発生異 常による心臓の形態変化に起因した先天性心疾患 と，肺性心や心内膜炎など出生後の他疾病に継発し て起こる後天性心疾患がある。先天性心疾患には， 本来は形態的に開口しない短絡（シャント）が存在す るもの（心房中隔欠損，心室中隔欠損など）と，胎生 期に開口していたシャントが出生後も閉鎖しないも の（卵円孔開存，動脈管開存症）,シャントが認めら れないもの（肺動脈狭窄など）がある。子牛の心疾患 は，臨床現場では聴診により心雑音を認めることで 発見されることが多いが，聴取される心雑音と臨床 所見の乖離から予後判定も含めた診断が困難である 症例も多い。本稿では，子牛でみられる心疾患につ いて，臨床現場で実施可能な検査の概要と診断方法 について解説する。