歩様異常を主徴とした黒毛和種子牛の 脊髄形成異常症の4例

摘要

出生直後より左右後肢で同時に飛び跳ねて歩行する"うさぎ跳び型跛行"を主徴とする歩様異常を呈した黒毛和種子牛4例に遭遇し，臨床観察を行った。X線脊髄造影検査を実施した2例中1例で， 第五腰椎部頭側での脊髄の狭窄像が認められた。MRI検査を実施した1例では，第四腰椎脊髄内に脊 髄液の貯留を示唆する所見が得られた。経過観察中，いずれの症例もうさぎ跳び型跛行の症状に改 善はなく， 25-225日齢で予後不良と判断し病理学的検査を行った。病理学的に脊椎の異常は認めら れず，脊髄形成異常症で総称される脊髄奇形，すなわち1例が脊髄空洞症，3例が重複脊髄症と診 断された。なお，家系調査において，いずれの症例も同一系統内の種雄牛を先祖に有していた。