牧野富太郎博士とツムラ創業者津村重舎との約束一『植物研究雑誌The Journal of Japanese BotanyJ創刊100周年一

摘要

1916年，牧野富太郎博士は日本の植物分類 学の自活と植物の大衆への理解と興味の推進を 目指して『植物研究雑誌The Journal of Japanese BotanyJを創刊した.1924年，津村順天堂（現株式会社ツムラ）の創業者津村重舍(初代重舎）は， 津村研究所と薬用植物園を創設し，植物を介した 学問の隆興への寄与と社会貢献を目指した.1926 年，本誌の出版継続の危機に際し，初代重舎が支 援を決意し，本誌の発行は津村研究所が引き継い だ.牧野博士は植物を正しく知ることに生涯を捧 げ，初代重舎はこれを支援した.二人は『植物研 究雑誌』という舞台で協働し，正しいものを正し く知り，選び，使い，作ることの体現を介した社 会への貢献を目指した.