農業生物資源ジーンバンク由来の世界のイネ、コアコレクションにおける温湯消毒時の 種子の高温耐性の解析

摘要

水稲の種子温湯消毒法は,化学農薬を使用しない技術として普及が進められて いる.しかし，種子の高温耐性が弱く温湯消毒 を適用できない品種があることや，十分に防 除できない病害があることなどの課題もあ る.この技術を安定して広く普及させるため には，多くの種子に強い高温耐性を付与し，よ り厳しい温度で処理できるようにする必要が ある.温湯消毒時の高温耐性には明らかな品 種間差があり，日本型品種の中では「ひとめぼ れ」の種子が,強い高温耐性を持つことが明ら かにされている.このように強い高温耐性を 示す品種を遺伝資源として探索することは重 要である.遺伝資源という観点では，日本型品 種とは異なる形質を持つィンド型品種が注目されている.例えば「Kasalath」や「ハバタキ」 は遺伝解析用の集団が整備されており，有用 な遺伝子の特定が行われている.しかしなが ら温湯消毒時の高温耐性については，ィンド 型品種の種子は一般に弱いとも言われてお り，この点を正確に評価する必要がある.そこ で本研究では，イネの多様性を広くカバーし ている農業生物資源ジーンバンク由来の世界のイネ.コアコレクション（RDRS)を用い て，インド型品種に視点をおいて種子の高温 耐性の体系的な評価を行った.またRDRSの 中で有用な遺伝資源となる品種の選抜も行つ た.