東北太平洋岸志津川湾におけるダンゴウオLethotremus awaeの繁殖生態

摘要

ダンゴウオLethotremus awaeは，標準体長　18mm程度で成熟する小型のダンゴウオ科魚類である（Ueno，1970）．熊本県天草，長崎県野母岬から青森県下北半島までの日本各地，および東シナ海北部から黄海に至る広範囲から採集記録があり（Jordan and Snyder，1902；宋ほか，1963；菊地，1970；Ueno，1970；塩垣、道津，1973；川崎、佐々木，1980；Kimura and Suzuki，1980；片岡、冨田，1981；小島，1988；塩垣，1988；張ほか，1994；塩垣ほか，2004；松本，2005），日本周辺の浅海域に広く分布すると考えられる、しかし，本種の繁殖に関する知見はUeno（1970）による成熟雌の卵巣卵の数およびサイズなどに関する若干の記述に限られ，詳しい生態は不明であった．本研究では，宮城県南三陸町志津川湾から得られた繁殖個体をもとに，野外における卵保護習性，産卵基質，一腹卵数，卵径および産卵頻度など，本種の繁殖生態の特徴を報告する．