海洋生態系アプローチ型持続的 水産資源管理に向けて（後編）: 地球温暖化の時代に備える

摘要

前月号に引き続き、地球温暖化に備えるための水産資源管理について紹介する。前編では、北海道系シロザケの摂餌、成長エリアはォホ—ック海とべーリング海の2海域であり、それらの海域は、それぞれ、彼らの生残率と環境収容力に影響を及ぼすことを述べた(詳細は本誌=月号を参照)。さて、地球温暖化はサケ類に今後さらにどのような影響を及ぼすのであろうか。ここでは、IPCCのSRESIA1Bシナリォに基づいて50年後および1o o年後のシロザケの状態について予測を試みた。なお、北太平洋SSTの予測デ—タは岸道郎氏(北海道大学大学院水産科学研究院)との共同研究結果に基づく。このような地球温暖化の予測は、不確実性に基づくため、全球的な傾向においてもモデル間のばらつきは大きい。まして、地域的なバタ—ンともなればモデル間で定性的な傾向さえ異なる場合もあるい。従って、anモデルの結果に過度に依存するのが危険であることはいうまでもない。それを踏まえた上で予測を行った。