動物用抗菌剤の基礎知識と適正使用（25）－予防の原則一

摘要

食用動物に抗菌性物質を使用することにより薬剤耐性菌が出現することば明らかな事実です。 しかし，それが食物を介してと卜にどれほどの影響を与えているかを科学的に明らかにすることば非常に難しい課題です。 そこで，この間題を明らかにするためリスクアセスメントの実施が，いろいろなこの問題を取り扱う国際会議で勧告されているのです（（16）薬剤耐性を巡る国際動向を参照）。リスクアセスメントについては，このシリーズ（23）で詳しく解説されているので参考にして下さい。 リスクアセスメントの結果から，適切なリスクの低減化を図るための措置を採択することが，リスクマネージメントと呼ばれるものです。 このリスクマネージメントの一つとして，「予防の原則」（precautionary principle）があります。 これはとくに環境保護の分野で広く展開されています。 最近，新聞等で食品の安全性関連でも良く見かけますのでご記憶の方も多いと思われますが，今回は「予防の原則」について解説したいと思います。