熱アシスト磁気記録の現状

摘要

近年ハードディスクドライブ（HDD）の新しい記録方式として垂直磁気記録が製品化され，研究室レベルでは記録密度が200 Gbit/inch~2を超えたとの報告もある．今後，現在開発されているTMR再生ヘッドなどの適用により，数百Gbit/inch~2の記録密度が達成されていくと考えられる．しかしその先の1 Tbit/inch~2の記録密度を達成するためには，何らかのブレークスルーが必要になると考えられる．そこで，磁性粒子を非磁性粒子で囲み規則的に配列したパターン媒体（パターンドメディア）や，記録時レーザーなどにより熱印加する熱アシスト磁気記録(Heat-Assisted Magnetic Recording；HAMR）などが提案されている．特にHAMRは，1 Tbit/inch~2の記録密度の可能性が理論計算別や，シミュレションで示されており，次世代の記録方式として期待されている．ここでは，HAMRの解説とともに最近の研究動向をまとめ，それらを踏まえて筆者らのマイクロマグネテイクスを用いた研究について述べる．