電力貯蔵用超電導フライホイール

摘要

本解説では,超電導軸受を利用したフライホイール電力貯蔵技術について，NEDOプロジェクトの成果を中心に，世界の動向を含めて紹介した.NEDOプロジェクトでは，将来の電力システムにおける負荷平準化や負荷変動補償用フライホイール電力貯蔵の実現を冒的として,大型,低損失超電導軸受技術の開発および軸受のフライホイールシステムへの適用可能性に関する試験評価巷行った．超電導軸受についてはヲ100kWh級フライホイールシステム用のラジアル型SMBモデル（300mm径）を開発した.その載荷力,回転損菜などの評価を通して，大型SMBの製作見通しを得た.また，ラジアル型SMBを使用したフライホイール運転試験装置を試作し，世界に先駆けて5kWhの電力貯蔵に成功した．実機規模のフライホイールの高速安定回転を通して，超電導軸受がシステムに使えることを示したが，その特徴を活かすには，さらなる回転損失低減が課題セある．また,エネルギー貯蔵量を増すためには，フライホイール本体の大型化技術や機械的強度の増大が必要である.電力変換器や発電電動機の高性能化や超電導軸受の低コスト化も実用化を図るうえで課題である．開発した大型ラジアル超電導軸受は,フライホイール電力貯蔵に限らず，ターボ膨張機やモータなど一般の回転機械システムの低損失軸受への応用が考えられる．さまざまな回転機械システムへの適用性の検討がなされ,新しい産業応用が生まれることを期待する.