甲状腺腫瘍

摘要

臨床上最も願が高いのは，非腫瘍性病変である囊胞，腺腫様結節，腺腫様甲状腫である.超音波検査で悪性を疑うBモード所見としては，形状不整な充実性腫瘤で，境界不明瞭，内部低エコーで不均一，微細石灰化などがある.カラードプラでは，内部に豊富な血流シグナルを認めた場合は悪性を疑い，さらにその血流解析を行うことで良悪性の鑑別が可能となる場合がある.エラス卜グラフィは組織弾性度を反映し，悪性では青く硬い腫瘤として描出される.近年，超音波検査の普及とともに,頸動脈エコー，CT， MRI, PET-CTなどの画像検查を施行した時に高頻度に甲状腺腫瘤が発見されるようになった.甲状腺腫瘍には，良性腫瘍である濾胞腺腫と悪性腫瘍である甲状腺癌があるが，臨床上最も高頻度にみられるのは非腫瘍性疾患である囊胞，腺腫様結節，腺腫様甲状腺腫である.不必要な精査を減らすためにも超音波検査で結節の形状，境界部の性状，内部エコー所見から良悪性の鑑別診断をしていくことが大切であり，日本超音波医学会で公示されている「甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準」を参照していただきたい.さらに，近年，カラードプラやエラストグラフィを備えた超音波診断装置によって腫瘍内部の血流情報や組織弾性度を知ることができ，良悪性の鑑別診断にその有用性が期待されている.