拡散MRIによる脳疾患MRI診断

摘要

磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging; MRI)に おいて，拡散強調画像(Diffusion Weighted Image; DWI) のコントラス卜は，他のT1WI, T2WIやFLAIRなどとは 異なる。DWIは，水分子の動きを拡散現象として画像 コントラストに反映できるものであり，生体機能を反 映したものと言っても過言ではない。その特徴から急 性期脳梗塞の早期検出に有用であり，今日の臨床には 欠かせない画像の1つである。このDWIをもとに，特 に脳白質を定置的に評価する拡散テンソル画像 (Diffusion Tensor Image; DTI)やその脳白質神経走行を 3次元的に表現できる拡散テンソル卜ラク卜グラフィー (Diffusion Tensor Tractography; DTT)が考案され，こ れらも現在の日常臨床で，診断に大きく貢献している。 さらに近年では，これらDTIやDTTでは難しかった，よ り微細な構造や複雑な拡散現象を表現するモデルが考 案され，一部脳疾患診断や手術支援として臨床応用が され始めている。本稿では，これらの拡散MRIにおける 次世代解析、次世代画像とも言えるいくつかの手法と その応用例を紹介する。