頭部SPECTにおけるコリメータ開口補正およびモンテカルロ法に基づく散乱線補正を用いた画像再構成法の定量精度評価

摘要

近年，我々はコリメータ開口補正による解像度補正，吸収補正，モンテカルロ法に基づいた散乱線補正機構を搭載した画像再構成法を開発し，シミュレ一ション評価によりその有効性を明らかにしてきた.だが，実際の実験による検証は今まで行われてこなかった.本研究では，一連のファントム実験を行い，本画像再構成法の定量精度を検証した.東芝製SPECT装置GCA7200Aを用いて，線線源ファントムによる空間解像度の検証，濃度一様プールファントムによる一様性の検証，脳ファントムによる画像コントラストおよび放射能濃度に対する比例性の評価を行った.実験の結果，本再構成法によって，捕正無しで8.8mm 程度だった解像度は3.5 mm程度に改善し，濃度一様ファントムの画素値の変動は13%から10%以下に改善した.放射能濃度の比例性の誤差も35%から12%まで改善され，それに伴い，画像コントラストも大きく改善した.本検証実験によって，本手法の吸収補正と散乱線補正の妥当性が確認でき，解像度補正の効果が大きな利点と考えられた.この結果より，本手法が局所脳機能画像定量SPECTに貢献することが期待される.