両側同時性顔面神経麻痺をきたしたZoster Sine Herpete症例

摘要

一側性の顔面神経麻痺は10万人に30 - 40症例の割合で発 症するといわれており[1]、そのうち両側同時性麻痺は0.7% -0.9% [2-3]に発症する。両側同時性の病因としてBell 麻痺、外傷性、ギランバレー症候群、先天性、各種感染症、 脳炎?髄膜炎、白血病、悪性リンパ腫、サルコイドーシスな どが挙げられている[4]。両側高度の顔面神経麻痺は患者の QOLを著しく損なうため、早期の診断と適切な治療が求められる。近年Bell麻痺と診断された患者のうち約3割にZoster Sine Herpete (ZSH)が含まれることが報告されており[5]、 Bell麻痺症例とされた中にvaricella zoster virus (VZV)が 関与し予後不良である症例があることが問題になっている [6]。我々は比較的稀症例である両側同時性Ramsay Hunt症 候群（RHS)の症例に関して報告をしている[7] 今回 我々は両側同時性の高度顔面神経麻痺をきたしたZSH症例 を経験したので報告する。