(S050-2)Shot peening によるCu 含有鋼表面赤熱脆性抑制機構の検討─初期酸化過程における組織変化

摘要

鉄鉱石価格の高騰や二酸化炭素排出量の削減義務等の社会状況下、スクラップ鋼リサイクル利用を推進していく必要がある。精錬除去困難なCu は熱間プロセスで生じるスケールから排斥、地鉄側に濃縮され、鋼中の固溶限を超えるとスケール/地鉄界面で液相化する。液相Cu は熱間圧延時に粒界に浸潤し粒界強度を低下させ、表面割れを引き起こす表面赤熱脆性の原因となる。表面赤熱脆性対策としてNi 添加、より高温での熱間圧延、Si 添加などの方法が提案されている。我々は表面赤熱脆性抑制における重要機構として地鉄／スケール界面の凹凸化を提唱している。Shot peening 処理後に水蒸気含有雰囲気中で酸化すると、1100°C-60 min 酸化時におけるNi 無添加0.4%Cu 含有鋼の表面赤熱脆性割れ深さが著しく改善できることを報告した1)。ショットピーニングによる加工組織は1100°C-60min の熱処理で消失しているはずで、表面赤熱脆性抑制機構を検討するため、初期酸化状態に注目し酸化組織観察を行ってきた。600°Cまでの低温酸化および700°C以上での酸化熱処理に伴う組織変化について断面TEM観察を中心に検討してきた結果を総括して報告する。