(S040_2)合金化溶融亜鉛めっき鋼板の被膜を構成するFe-Zn 系金属間化合物相のマイクロピラー圧縮試験

摘要

合金化溶融亜鉛めっき(Galvannealed:GA)鋼板は，優れた溶接性，塗装性を有する防錆鋼板である．溶融し た亜鉛浴中に鋼板を浸漬した後，合金化熱処理を施すことにより製造され，めっき被膜は5 種類のFe-Zn 系金属間化 合物相(Γ，Γ1，δ1k，δ1p，ζ)から構成される．GA 鋼板をプレス加工する際，加工条件によってはめっき層の剥離(パウダ リング·フレーキング現象)が起こることが課題となっているが，どの相が原因となっているかは明らかにされていない． これは良質な単相試料を得るのが困難であることや，被膜中の化合物相の厚さがせいぜい数μm しかないために，各 相の変形挙動に関する知見が得られないことに起因している．近年，集束イオンビーム法(FIB)等の微細加工法の急 速な発展により，ナノ·マイクロスケールでの力学特性評価が可能となってきた．そこで本研究では，めっき被膜から単 相多結晶の微小試験片(マイクロピラー)をFIBにより作製し，その微小圧縮試験を行うことによって各化合物相の圧縮 変形能を調査する．