(S311)超微細フェライト-セメンタイト鋼の塑性加工限界までの真応力-ひずみ関係におよぼすセメンタイト体積率の影響

摘要

フェライト組織に微細なセメンタイト粒子が分散した超微細フェライト-セメンタイト(FC)鋼は，フェライト組織の結晶粒微細化強化による高強度化と微細なセメンタイト粒子の分散強化による均一伸びの確保が期待できる1)．また，分散強化により均一伸びの向上を図る一手段として，セメンタイト体積率を変化させることが挙げられる1, 2)．一方で，我々は破断までの引張変形挙動を調査するため，塑性加工限界までの真応力-ひずみ関係に注目し，これまでに低炭素鋼より作製したFC 鋼の真応力-ひずみ関係におよぼす結晶粒径の影響について検討した3)．FC 鋼を対象に優れた真応力と真ひずみを得る条件を明らかにするためには，結晶粒径に加えセメンタイト体積率の影響についての調査も必要である．以上のことから，本研究ではセメンタイト体積率を変化させた平均フェライト粒径が約0.5 μm の超微細FC 鋼を作製し，常温にて静的引張試験を行った．引張試験結果より，静的引張特性と塑性加工限界までの真応力-ひずみ関係におよぼすセメンタイト体積率の影響を検討した．