(S038_2)階層的3D/4D 解析によるDP 鋼の変形と破壊挙動（その２）-EBSD 弾性ひずみ測定法による局所的応力分配の評価-

摘要

2 相混合組織を呈する鋼(DP 鋼)の力学的特性は、両相の形態や分布に依存して変化する1)。そのため現在に至るまでミクロ組織形態と変形·破壊挙動の相関に関する多くの研究がなされてきた。今日では金属材料においても組織形態を3 次元評価することが可能となっており、metric 特徴値やtopology 特徴値2)を用いてより定量的に形態を評価する試みがなされている（連報その3, 4）。力学的特性に及ぼす3 次元組織形態の影響を議論する際に、変形過程における相間や粒間での応力分配を理解することが重要である。理想的には、負荷中に動的に応力分配を評価することが望まれる。近年、変形中その場中性子回折法を用いて、hkl粒群単位や相間の平均的応力分配の評価が可能となってきた(連報その1)。また、変形中その場電子後方散乱測定法(EBSD)による弾性ひずみ測定法3)を用いれば粒単位や粒内の応力分布測定が可能である。そこで本研究では中性子散乱法、EBSD 弾性ひずみ測定法、3 次元組織解析法を有機的に関連付けて、フェライト/マルテンサイトDP 鋼の階層的3 次元(3D)/動的(4D)変形·破壊挙動を検討した。本報では特にEBSD 弾性ひずみ測定による粒単位ならびに粒内における応力分配に焦点を絞り検討した結果について報告する。