鋼板の調質圧延の有限要素シミュレーション（不均一塑性変形に及ぼす降伏点現象の影響）

摘要

提案した構成モデルでは極めて高い上降伏点を持つ応力一ひずみ関係を表現することができる。 これを用いて調質圧延の有限要素シミュレーションを行ったとこる以下のような新しい知見が得られた．·高い上降伏点を持つ材料では0.5～2.0％圧下率の調質圧延において弾性域と塑性域が交互に現れるような不均一な変形パターンが計算できる。 しかし高い上降伏点を持つ材料ではこれが顕著ではなかった。 ·調質圧延後の引張りのシミュレーション結果から，2.0％圧下率の場合には応力-ひずみ曲線から降伏段は完全に消滅していた。 {質圧延のメカニズムを探るには材料の持つ降伏点現象を無視することができない。 降伏点現象を記述する構成式を用いた調質圧延の数値シミュレーションは，著者が知る限りでは，本報告が始めてであり，これらの結果が調質圧延の議論の一助となることを願うものである，なお，本研究には広島大学大学院生·金田佑也,山本茂雄両君によるところが大きい。 記して謝意を表する。