溶融シリケートスラグの屈折率の推算式

摘要

溶融スラグの屈折率は，その放射率や柘射による熱伝導度を算出する際に不可欠な物性値である。 室温におけるシリヶいトガラスの屈折率には，非常に多くの報告値がある明ものの，溶融シリケースラグに関しては，そのデータは2001年までは皆無であった。 著者らは2002年に高温用のエリプソメータを開発し,世界で初めて，溶融アルカリ·シリケート及びアルミノ·シリケートの屈折率測定を行った。 その後も,溶融アルカリ土類シリケートや多元系シリケートの測定を行い，現在もデータを蓄積しつつある。 一方で，連鋳用モールドフラックスにおいて顕著に見られるように，鉄鋼業で用いられるシリケートスラグは多元系シリヶートであり，かつその成分·組成は，より高品質の製品を製造するために，常に更新されているのが現状である。 このような状況下において,溶融スラグの屈折率の値を実験によらずに推算できれば,スラグ·フラックスの開発において有用であると考えられる。 シリケートの屈折率の推算式に関しては，LarsenとBermanやDoweidarらにより，いくつかの提案がなされている。 しかしながら，いずれの推算方法も室温のガラスに関するものであり，溶融シリケートに関する推算式は提案されていない。 本研究では牒在までに著者らが測定で得た全データを用いて，溶融シリケートを構成している化学結合の観点から，その屈折率の推算式を構築することを目的とする。