トポロジー最適化のプレス金型への適用－ダイ形状の最適化

摘要

近年の地球温暖化対策の一つとして，自動車業界では二酸化炭素の排出量削減を目指して燃費性能の向上が図られている．EVのようなエネルギー効率の向上と同時に車体の軽量化もこの目的を満たすための有効な手段の一つである．従来の鋼板よりも強度が大きいために薄く，軽くすることが可能な高張力鋼板は軽量化のためには欠かせない存在となっており，自動車の外板パネルやピラー，補強材などに利用されている．しかし，一方で割れ，しわなどの加工不良やスプリングバックでの形状精度不良など加工の困難性も多く指摘されている．本稿では，成形荷重の増大に伴い高剛性が要求される成形ツールの中で特にダイに着目して，CAEによる最適化計算を用いた軽量化の事例について紹介する．なお，本事例はAltair Engineering ABとVolvo Car Body Component社の協力のもと実施されたスウェーデン·Lund大学のFrida BirathとAnna Nilssonの修士学位論文から引用している．