串団子状の中空金属集合体の製造法

摘要

近年，地球温暖化防止のため，二酸化炭素排出量の削減要求が極めて高まっている．自動車等運輸関係の排出量は全体の約20％程度を占めており，排出量低減の一つの対策として，軽量化による燃費向上が図られている．一方で，衝突安全性向上のための装備付与に伴い，車体重量は増加傾向にある．衝突安全性を確保しつつ，車体を軽量化するという矛盾する要求に対し，超軽量かつ高比剛性，高衝突エネルギー吸収性等を有する図1のような超軽量ポーラス金属材料が注目されている．超軽量ポーラス金属の中でも，比較的均質で信頼性のある材料として，Metallic Hollow Sphere (MHS)成形体があるが，MHS成形体の現段階での製造法である粉末冶金法は，実用化にはコストや均質面でまだ問題が残されている．また，図2に示すように，MHS同士が点接触であり，引張力に弱く，側面衝突などにおいてピラー等引張力が作用する曲げ部材には性能が不十分となる恐れもある．本研究ではこれらの問題点を解決すべく，図3に示す串団子状中空体（以下：串団子状MHS）の集合体を提案する．低コストかつ高精度な加工法としてバルジ加工法を用いて串団子状MHSを成形し，それらを束ねることによって均質な串団子状MHS成形体を作製する．串団子状MHSは一本のパイプから作られているため，球同士が点接触ではなく一体であることから，引張りに対する抵抗も大きいと考えられる．この製造方法を確立するとともに，できた串団子状MHSおよびその成形体の機械的特性評価試験を行って，性能評価を行ったので，その結果について報告する．