特集：燃料電池実用化のカキを握る材料開発－II.材料事例·電解質膜ホスホシリケートグルおよび無機－再機ハイブリッド

摘要

ホスホシリケートおよび，これに有機官能基を導入して作製した無機－有機ハイブリッド膜は，高プロトン伝導性と柔軟性を併せもち，中温·低湿領域で稼働する燃料電池材料として期待される．固体高分子形燃料電池（PEFC）は，自動車用，住宅用，さらには携帯電子機器用の電源としての利用が期待されることかち，近年，特に注目を集めている．現状のPEFCの作動温度は，電解質に用いるフッ素樹脂系のイオン交換膜の耐熱性によって一般に100°C以下であり，また，イオン交換膜の高いプロトン伝導性を維持するために飽和水蒸気圧に近い加湿が必須である．最近，中温領域（100～200°C）あるいは低湿度環境下で高いプロトン伝導性を示す固体材料が燃料電池の電解質として強く求められている．燃料電池の中温領域での作動が可能になれば，高効率発電，電極触媒被毒の抑制および排熱の利用が可能になる．さらに，低湿度で高い導電率を維持する材料が開発されれば，加湿装置の重量や体積を軽減でき，特に自動車搭載用電源としての実用化に向けて大きな進展が期待される．