ナノコンポジット磁石

摘要

1917年，本多光太郎によりKS磁石が発明されて以来，80年余り経過する。 この間に数多くの永久磁石材料が開発され，最近のNd－Fe－B系磁石に代表される希土類磁石では，その強さ〔最大エネルギー積：（BH）_(max)がKS磁石の55倍にまで達している。 強力磁石の出現は機器の小型化，高性能化をもたらし，私たちの生活を豊かにしてきた。 このような状況の中，ナノコンポジット磁石が近年報告され，その応用が期待されている。ナノコンポジット磁石は，Coehoonらが，Fe_3B相を主相，Nd_2Fe_（14）B相を副相とした急冷薄帯において結晶粒サイズを10～20nm程度にすると，等方性であるにもかかわらず高い残留磁束密度（B_r）が得られることを報告したことに端を発する。