中·印の自給不足を中東が補完－経済産業省製造産業局化学課まとめ－

摘要

経済産業省製造産業局化学課はこのほど，「世界の石油化学製品の今後の需給動向」をまとめた。エチレン，プロピレンおよび芳香族とこれらの各誘導品について，2016年までの需給動向を示している。現段階で予定されている新増設計画を踏まえた世界の需給バランスは，エチレン系誘導品では2010年実績の190万トンの供給超過が，2016年には270万トンの需要超過になると予測した。主要因は中国で，同国の需要は年率6.8％で伸長して2016年には4160万トンに達し，内需に対する国内生産の不足量は，2010年の1390万トンが2016年には1700万トンへと拡大する。これを補うのが中東で，中東の生産は2010年の1870万トンが2016年には2590万トンとなり，域内需要に対して1690万トンの供給超過が発生する。中国と中東だけでみると過不足はほぼ解消するが，注目されるのはインドだ。同国の需要は年率11.2％で伸びて2016年には1130万トンと日本の2倍以上になり，国内生産不足量は510万トンとなる。プロピレン系誘導品の需給バランスは供給超過が縮小していくが，中国，中東，インドでエチレン系と同様の動向をたどる見通しだ。