虚血性心筋症に対する血管新生療法 塩基性線維芽細胞増殖因子徐放化システムの有用性

摘要

虚血性心筋症においては冠動脈本幹がびまh性に狭窄しているため,血管新生療法といわれる,心臓の組織に働きかけて細動脈あるいは側副血管を増加させようとする治療法が有効である.これらの多くは血管新生因子を外部から投与するか,それを心筋内に誘導することによって効果をあげており,遺伝子治療,ペプチド投与,細胞移植,および物理療法に大別できる.著者らは,安全性と効果の観点から塩基性線維芽細胞増殖因子を徐放化して投与する方法に注目しており,ラットやブタの心筋梗塞モデルにおいて虚血部位における細動脈レベルの血管新生と心機能の有意な改善を証明し,また細胞移植との併用でも効果をあげることを確認した.とくに,これを応用することで微小血管に対して生物学的バイパス吻合を施行する方法は心夕抄ら血流を得ることができるため,他の血管新生療法よりさらに高い治療効果が得られる可能性があり,今後の発展が期待される.