レム睡眠行動障害 神経変性疾患の潜困性病態？

摘要

REM睡眠行動障害（RBD）はREM睡眠期の正常な筋抑制の欠如によって睡眠中に夢が行動化したかのような複雑な運動が生じる1診断基準に必須事項でないが，睡眠ポリグラフ（PSG）による"REM sleep without atonia：RWA"の所見は重要である．大規模な対照試験は行われていないが，クロナゼパムが約9割の症例で有効である.そのほかにドパミンアゴニスト，メラトニン，α刺激薬，コリンエステラーゼ阻害薬,選択的セロトニン再取込み阻害剤（SSRI）などの効果も期待されている．RBDは神経変性疾患のなかではParkinson病（Parkinson disease：PD），びまh性Lewy小体病（diffuse Lewy body disease：DLB）．多系統萎縮症（multipIe system atrophy：MSA）などのシヌクレイノバチーで多く認められる，そして中枢性のドパミン神経による発症機序に注目が集まってきている．RBDは神経変性疾患の早期症状や潜国性の病態としてとらえられる可能性がある，このような発症素因に加えてストレスがどれほど強く発症に関与したか調査した報告は少ない．REM睡眠の変容を理解することが身体的および心理的障害の病態機序の解明につながっていき，今後もさらなるREM睡眠研究の発展が期待される.