ゲノム機能学からみたヒ卜免疫

摘要

遺伝子改変技術の導入により，動物モデルにおける免疫システムの理解は飛躍的な進展を遂げたのに対し， これまでのヒト免疫システムの理解は十分なものとはいえない.外来抗原への反応性やさまざまな免疫疾患 への感受性を規定しているものとして，ヒ卜免疫機能の個人間での多様性が考えられるが，その背景にはヒト ゲノム配列の多様性が存在している.次世代シークェンシング技術の登場によってゲノム，ェピゲノム，トラ ンスクリプト一ムを統合的に解析することが可能となり，ヒ卜免疫研究にも変革がもたらされている.すなわち，RNA-seq, ChlP-seq, eQTL解析などの技術を組み合わせることによって，ゲノム配列の多様性によつ てもたらされるェピゲノム変化?発現変化を網羅的に解析できるようになり，疾患感受性多型が疾患につなが るメカニズムを包括的に解析可能な時代となったのである.