ヒ卜のプリオン病の実態獲得性プリオン病を中心に

摘要

ヒ卜のプリオン病の実態について，獲得性プリオン病や伝播の問題に重点をおいて解説した.わが国のCreutzfeldt-Jakob病(CJD)サ-ペイランス委員会が過去11年間に判定したプリオン病1,324例は，孤発性CJD 76.6%,遺伝性プリォン病17.2%,獲得性プリォン病5.7%に分類された.獲得性プリ才ン病は変異型CJD (vCJD)1例を除き，すべて硬膜移植後CJD(dCJD)であり，dCJDは過去の調査による患者数を総計すると138例となった（2010年2月現在）.獲得性プリオン病には，BSE関連のvCJD,ク一ルー，医原性CJD (ヒ卜屍体由来の硬膜や下垂体ホルモン製剤の使用や脳外科手術などによる感染）がある.近年，輸血や血液製剤関連のvCJDが問題となっている.プリオン病では動物からヒ卜への伝播防止とともに，ヒトからヒ卜への感染を防ぐことが重要な課題であり，医療行為による患者からの二次感染を防御するための対策がとられている.