生体リズムと薬物投与

摘要

地球上に住む生物の有する活動性や生理機能には生体リズムの現象が認められる．われわれ人間もその例勃ではない.生体リズムのなかでは約24時間を周期とする概日リズムがもっともよく研究されている．本態性高血圧症や気管支喘息をはじめとして多くの病態や症状には概日リズムが認められる．また，薬物の体内動態（吸収，分布，代謝，排泄）や薬効·毒性に,概日リズムの所見が認められることもある．したがって．疾病の病態と症状の側だけでなく．薬物の作用の出現のし方の側にみられる生体リズムの現象に関する知見を配慮して工夫すると．症状の増悪する時間帯に血中薬物濃度が高くなるような薬物投与設計が可能になり，合理的薬物治療が一歩前進する．