わが国における卵巣癌の発生頻度は欧米と比べていまだ低いものの,近年明らかな増加傾向にあると考えられる.卵巣癌による死亡について厚生省人口動態統計をみると,1980年から1998年までの18年間で死亡者数が2,098から4,173と約2倍,人口10万対死亡率で3.5から6.5と明らかな上昇が認められている.また,卵巣癌の発生頻度に関する日本全体の正確なデータはないものの,International Agency for Research on Cancerの報告によれば,日本のいくつかの地域における卵巣癌発生率の増加は各国と比べても際だっており,わが国では近年卵巣癌の発生頻度が急増し,これに伴って死亡率も増加してきていると考えられる.
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