肝癌に対するペプチドヮクチン療法

摘要

肝細胞癌に対して自ら固定したglypican-3 (GPC3)由来のぺブチドを用いたワクチン療法の臨床第I相試験に おいて，安全性，ペプチド特異的細胞傷害性Tリンバ球（CTL)の誘導効果，腫瘍内へのCTLの浸潤，一部の症例での抗腫瘍効果，ぺプチド特異的CTLの最大頻度と全生存期間の相関を示すことができた. ぺブチドワクチン療法のproof of conceptともいうべき，ぺプチドワクチン後の腫瘍生検組織にぺプチド特異 的CTLが浸潤していることを証明し，わずか2回のぺプチドワクチン投与で肝内のほとhどの腫瘍が壊死した 症例も経験した.肝細胞癌根治的治療後の再発予防効果を検証する第Ⅱ相試験も登録が完了した.この成果に より製薬企業への導出が実現し，GPC3ぺプチドを含むぺプチドカクテルワクチン療法の第I相の企業治験も 進行中である.