異時性両側性閉鎖孔ヘルニアの1例

摘要

閉鎖孔ヘルニアは比較的まれな疾患であるが，近年，画像診断法の発達と本疾患に対する認識の高まりに伴い，数多くの症例が報告されてきている．今回，われわれは異時性に発生した両側閉鎖孔ヘルニアの1例を経験し，再発時には自然還納されていた症例を経験したので報告する．患者：80歳，女性.主訴：右鼠径部から右大腿部痛，下腹部痛.既往歴：1997（平成9）年4月28日に左閉鎖孔ヘルニア嵌頓にて開腹手術を施行し，嵌頓腸管壊死にて腸切除を施行していた．また右鼠径部から右大腿部前面にかけての疼痛を年1～2回の頻度で認めることがあり，外来で経過観察をしていた．現病歴：2000（平成12）年7月30日，朝方より右下腹部から右鼠径部にかけて疼痛が出現した．その後数時間たっても症状が改善しないため当院救急外来を受診した．