循環器疾患に合併する勃起障害（Erectile Dysfunction，ED）の診療クエン酸シルデナフィル（バイアグラ）の有用性

摘要

循環器内科の外来診療で対象となる循環器疾患は，高血圧，虚血性心疾患，不整脈，慢性心不全などである。 特に高血圧は日常診療で最も頻度の高い生活習慣病であり，動脈硬化の最大の危険因子でもある。 一方器賀性の勃起障害（Erectile Dysfunction；以下EDと略す）の原因として動脈硬化（arteriosclerosis）および血管内皮機能障害（vascular endothelial dysfunction）が関与していることが考えられる。 動脈硬化が陰茎動脈または陰茎を栄養とする動脈に生じると，動脈から陰茎海綿体に血液を十分に流し込めない病態（流人障害）および流出静脈の閉塞機能障害から起こる陰茎に血液を十分に貯留しておけない病態（流出障害）を引き起こす。 EDの病態生理として，動脈硬化や高血圧による血管内皮性Nitric Oxide（NO）の低下，糖尿病性神経障害による神経性NOの分泌低下はEDの発症·悪化に関与していることも推測される。 ED診療上，動脈硬化の危険因子（高血圧 高脂血症 糖尿病）と心血管系合併症（虚血性心疾患など）の管理は不可欠である。