(S084)ジルコニア固体電解質酸素ポンプを用いた溶融銅の電気脱酸

摘要

鉄鋼生産プロセスの二次精錬では不純物酸素を除去している。現在の脱酸は, 還元剤を添加し溶鋼中の酸素と反応させ, 酸化物として凝集, 溶鋼上へ浮上, スラグに吸着させて除去する方法が広く用いられている。この脱酸工程で生じるSiO_2, Al2O3 などの脱酸生成物は, その一部が溶鋼中に残存し, 割れや腐食の起点となり, 鋼の材質劣化の原因となる。Yuan ら[1]はCSZ 固体電解質に外部電流を流すことによって気相中の酸素を相当量取り除けることを実証した。固体電解質を介して酸素ポテンシャルの高い方から低い方へ電流を流すと, 酸素は固体電解質中を酸素イオンが電流の流れる向きと逆方向へ移動するため, 酸素をそのポテンシャル勾配に逆らって移動させることが出来る。この原理を利用して, 外部電流の印加のみで液相の金属から雰囲気中へ酸素を汲み上げることが出来れば溶鋼からの脱酸プロセスへの応用も可能である。還元剤を用いないため, 高品質鋼の生産が期待できる。本研究では溶鋼の電気脱酸の第一歩として, 融点が低い銅を用いて,電気脱酸がこの原理通り機能することを確かめることを目的とした。