ポリ乳酸からなるフィルタろ材の評価

摘要

本研究では、PLLA繊維からなる帯電フィルタの実用化するために、基本物性、帯電性について検討した。 また、PLLAの最大メリットであるカーボンニュートラルを効果的に実現するために、ケミカルリサイクルに着目して検討した。 その結果、以下のことが分かった。 1）本研究で評価したPLLAからなるろ材は、50℃以上の条件で使用すると熱収縮による棉集効率の低下などが懸念されるが、その他の物性に関しては一般空調用中性能ろ材として使用できることが確認できた。 2）また、帯電PLLA繊維の初期繊維帯電量（3.0×10~（-6)C/m~2）は、本研究で比較したPPろ材に比べて2倍程度高かった。 3）最後に、本研究で提案した炭酸カリウムを触媒として用いたメタノリシス法で、PLLAろ材中のPLLA繊維を78％乳酸メチルモノマに分解できた。 今後、ケミカルリサイクルなどへの展開時の前処理方法として有効であることが分かった。以上の結果より、PLLAからなるフィルタろ材を過酷な条件で使用するためには、耐熱性の向上、帯電量の安定性の評価など、検討すべき課題が残されているものの、将来、地球環境問題の解決策の一つとして期待できるものと考えられる。