携帯式作物生育情報測定装置

摘要

近年の日本の稲作においては，米の高品質化が従来にも増して求められており，土壌の状態や作物の生育状況を把握したうえで適切な栽培管理を行うことが重要である。 なかでも，水稲の窒素栄養状態は，玄米の品質·収量と密接な関係があり，生育期間中にタイムリーな情報を得ることができれば，適切な生産管理が可能となる。 慣行の生育診断は，稲の草丈，茎数，葉色などを測定し，稲体に吸収された窒素量を間接的に知ろうとするものである。 しかしながら，測定に時間がかかるために測定点数が限られ，測定場所の選定を誤ると平均値の誤差が大きくなること，は場内の生育むらの把握が困難なことなどの問題がある。 そこで，生研センターでは，群落からの反射光を測定することにより簡便に稲の生育量を推定できる携帯式の生育情報測定装置の開発を「21世紀型農業機械等緊急開発事業」において，関係企業等の協力を得ながら行ってきた。 以下に開発した「携帯式作物生育情報測定装置」について紹介する。