セメントキルン用クロムフリー塩基性れんがの耐水和性の改善

摘要

セメントキルン用耐火物のクロムフリー化が進展しているが，長期保管になる可能性の高い予備品や軸調整用れんがの耐スレーキング抵抗性の向上が課題となっている。 マグネシア·スピネルれんがのスレーキングは，れんがに含まれるMgOの水和と炭酸化によって生じ，その反応性がスピネルれんがのスレーキング特性を左右すると考えられてきた。 多くのクロムフリー塩基性れんがの主な構成鉱物はペリクレースとスピネルであり，そのスレーキング特性はマグネシア·スピネルれんがと同じと言える。 著者らは，マグネシア·スピネルれんがのスレーキング事例を詳細に検討し，スレーキングしたれんがの亀裂部破面の観察から，MgO粒界のCa-Al-Si-O系液相凝固部が選択的に消化して膨張した相が存在することを確認した。 これらから，マグネシア·スピネルれんがのスレーキングには，MgO粒界の相の組成が大きく関与していることを見出した。 したがって，MgO粒界の相の組成を調整することにより，マグネシア·スピネル系クロムフリーれんがのスレーキング抵抗性を向上させることができると考えた。