低体温症

摘要

環境などが誘因となって起こる災害時の低体溫症を，偶発性低体温症とよぶ。高齢者に起こりやすい。診断と重症度判断には体温測定ではなく,震え,意識，脈と呼吸の症状が鍵である。震えのある段階で治療を開始すると現場での回復が見込めるが，震えの消失や意識が低下した段階では急速に悪化し，現場での回復が困難となる。被災直後は，濡れること，風や寒さ，さらなる疲労から身を守り，簡易シェルターの確保が第一の予防である。重症低体温症でも病院での蘇生成功例が複数報告されているが，病院搬送に限界のある被災直後には，予防と，震えが残っている早期の段階での積極的な保温-加温と回復が，致命率低下のために望まれる。