地上／衛星共用携帯電話システムの干渉評価に向けた屋外／屋内伝搬実験－端末·CW送信機·疑似衛星局を用いた評価

摘要

地上／衛星共用携帯電話システム（STICS）は、地上回線と衛星回線で同一周波数帯を共用し共用携帯端末にサービスを提供する携帯電話システムである。STICSの地上／衛星システム間で発生する干渉量評価の一環として、地上回線を使用する携帯端末から衛星に対する干渉量の評価を行っている。その際、干渉量の評価を精度よく行うには、携帯端末の通話地点の周辺地物の状況の違いに依存した干渉レベルの変動を考慮する必要がある。そこで本研究では、周辺地物の状況として屋外、屋内の違いに着目し、携帯電話端末と連続波（CW）送信機、疑似衛星局を用いてオフィスビル街の屋外／屋内環境において伝搬実験を行っている。2009年に実施した基礎実験の実験系と実験方法を改善し、移動局にCW送信機を用いて移動局一疑似衛星局間の測定の適切なダイナミックレンジの確保、600区間以上の通話地点での測定による統計的評価、基地局パイロット信号の観測による相手方基地局の推定を実施している。実験で得た携帯電話の等価等方輻射電力（EIRP）、CW送信時の疑似衛星局受信電力を屋外／屋内通話時に分類して分析する。それらを用いて、屋外通話かつ疑似衛星局が見通しの時の干渉電力を基準として携帯電話送信波の相対干渉電力を求め、屋外、屋内通話時の干渉レベルの変動量を推定している。