上腹部領域における3T MRI

摘要

本邦では全身用3Tesla (3T) MRI装置が2005年4月に薬事承認され，体幹部での臨床使用が可能となった.当院では2007年3月よりPhilips，の3T装置であるInteraAchieva Quasar Dualを導入し，上腹部領域に積極的に用いている.腹部領域には6chのtorso array coilを使用している.当院の1.5T装置は同社のIntera Achieva Nova DualとGE Healthcare 社製のSIGNA twinspeedを使用している.3T 装置ではSAR （specific absorption rate ：比吸収率）の増大，磁場不均一性の増大，T_1コントラストの低下，磁化率効果の増大などの問題点もあるが，近年のハ一ドウェア性能の向上や,parallel imagingを始めとするソフトウェァの開発，改善により，高い信号ノイズ比（SNR）を活かした高い時間，空間，コントラスト分解能の画像を得ることが可能となりつつある.本稿では，3TMRI装置の特徴および上腹部領域，特に肝臓と脾臓における有用性，問題点について，自験例を提示しつつ概説する.