疾患における慢性炎症

摘要

慢性と冠することからわかるように，これは臨床的な概念です．炎症という概念は，古代ギリシャ時代から知られていました．ローマ時代にはケルススという医師が,発赤·発熱·疼痛·腫脹という炎症の四主徴を記載しています．昔は．動脈 には血液ではなく空気が流れていると考えられており，炎症は 動脈内に食物残渣が流れ込むことによるとされていました．瀉血が盛んに行われたのも，汚れた血を除くためです． 17世紀の終わりになるとハンターというィギリスの外科医は炎症を病気の原因としてだけでなく，防御や修復の過程でもあると考えていました．ハンターは炎症による癒着や肉芽形成などの慢性 炎症についても記載しています．