繊維強化複合材料の力学特性

摘要

複合材料の不均質性を考慮して構成材料の特性から複合材料としての力学特性を予測する微視力学（マイクロメカニクス）が発達してきた．この不均質性により強化材とマトリックスの間に界面が存在し，単一材料には見られない破壊·損傷特性を有する．さらに，実用上この材料は繊維方向をいくつかの方向に配向させた積層板として用いられるが，薄板構造として用いられることが多いことから，平面応力を仮定した積層板理論が用いられている．積層板として用いられることから，強化材ーマトリックス界面とは異なる界面，すなわち層間が存在することになり，これにより積層板特有の破壊·損傷挙動を示すことになる．本稿では，一方向繊維強化複合材料と複合材料積層板について，弾性特性，強度·損傷特性に関する基礎的事項を述べる．