吸水性高分子材料

摘要

高分子は一次構造（化学構造）に示される繰り返し単位の連続体であり，その長さは分子量（重合度）により決定され，高次構造は分子主鎖が規則的に配列した結晶領域と不規則に配列した非晶領域から形成されている．分子量および分子量分布また極性基の有無によって，分子鎖の絡み合いの程度が異なり，配向性によって材料の方向性が異なるため，機械的性質や熱的性質が異なってくる．また分子鎖末端，主鎖の枝分かれの状態，ホモポリマーかコポリマーか，あるいはブレンドか，さらには可塑剤のような低分子物質が存在するかなどによって物性は影響を受ける．一般に高分子は熱力学的には準安定状態にあって，外部から何らかの刺激を受けると状態が変化すると考えられる．従って，高分子材料の受けてきた環境の影響，すなわち，温度，湿度，圧力，紫外線，溶液のpHなど各種の履歴の影響により，高分子の物性は変化する．特に高分子の熱的性質に及ぼす熱履歴の影響は大きく，高分子の高次構造が可逆的に変化することはないと言っても過言ではない．