ポリマーアロイとポリマーブレンド

摘要

高分子材料には様々な機能が要求される．しかし，単一の高分子のみで要求性能を満たすことには限界がある．そこで，複数の高分子を混合（ブレンド）することにより要求される機能を得ようとする手法がポリマーブレンドである．複数の高分子を複合化する方法には，この他に，共重合化がある．共重合体とは，一本の高分子の中に複数の高分子が共有結合によりつながつているものである．共重合体には，交互共重合体，ランダム共重合体，ブロック共重合体，グラフト共重合体がある．例えば，Aという高分子とBという高分子からなる共重合体を例に，上にあげた共重合体の構造を説明する．高分子はモノマーと呼ばれる繰り返し単位が共有結合により多数つながってできた鎖状の巨大分子であるが，交互共重合体とは，A高分子のモノマーとB高分子のモノマーが互い違いに交互につながってできたものである．ランダム共重合体では，A高分子のモノマー（Aモノマー）とB高分子のモノマー（Bモノマー）がランダムにつながっている．したがって，交互共重合体では，AモノマーとBモノマーのモル比は半々になるが，ランダム共重合体では，任意のモル比で共重合化することが可能である．一方，ブロック共重合体とグラフト共重合体では，Aモノマーどうしがつながってできた高分子（A部分鎖）とBモノマーどうしがつながつてできた高分子（B部分鎖）が一体の高分子の中につながつている．ブロック共重合体では，A部分鎖とB部分鎖が直線的につながっている．ブロック共重合体にはAB型ジブロツク共重合体やABA 型トリブロック共重合体などがある．グラフト共重合体では，AまたはB高分子の幹にBまたはA部分鎖が枝のようにつながっている．その形状としては，くし型のものや箒伏のものなどがある．ポリマーブレンド，ブロック共重合体とグラフト共重合体をあわせてポリマーアロイと総称される．